車のブレーキを踏んだ時に「キーキー」「ゴーゴー」「ゴリゴリ」といった異音がした経験がある人は意外と多いのではないでしょうか。
部品の不具合や外的な要因によってこのような音がすることがあります。
このような異音を放置すると重大な事故につながる可能性もあるため、適切な対処が必要です。
そこで、これから車から異音がする原因やその対処法を音別に紹介していきます。
Contents
ブレーキからの異音「ブレーキ鳴き」とは
ブレーキ鳴きとは、車のブレーキを踏んだ時に音がする現象のことを言います。
この現象の原因はいくつかあり、その原因や状態によって音の種類や大きさが異なります。
このような音がした時は、車体に何らかの不具合が生じている可能性があるため、適切に対処することが重要です。
車のブレーキの基礎知識
車のブレーキとは、車両を減速もしくは停止させるための重要な装置です。
車からの異音について理解するために、まずは基本的な知識を理解していきましょう。
ここでは、車に搭載されているシステムと種類について紹介していきます。
システム
ブレーキには大きく分けると以下の2種類のシステムがあります。
- ディスクブレーキ
- ドラムブレーキ
ディスクブレーキ:一般的な車両に搭載されている(前輪)
ディスクブレーキは、車両に取り付けられたディスクローターとディスクローターを挟むブレーキパッドから構成されています。
ブレーキをかけるとブレーキパッドがディスクローターに押し付けられて、その摩擦によって減速していきます。
ドラムブレーキ:古い車や小型車に搭載されている(後輪)
ドラムブレーキは、ドラムブレーキと呼ばれる回転する円筒とドラムの内側に配置されたブレーキシューから構成されています。
ブレーをかけるとシューとドラムに接触するため、摩擦が生じて車が停止します。
種類
車のブレーキにはいくつかの種類が搭載されており、それぞれ特徴や操作方法が異なります。
以下で主な3種類を紹介します。
- 走行ブレーキ
- パーキングブレーキ
- ABS
走行ブレーキ
走行ブレーキは最も一般的に使用されるブレーキで、車の減速や停止のために使用されます。
通常フットブレーキと呼ばれています。
パーキングブレーキ
パーキングブレーキは、車が意図しない動きをしないために停止中や駐車中、坂道で使用するのが一般的です。
多くの車両でフットブレーキやハンドペダルで操作しますが、最近は電子スイッチで操作するタイプもあります。
ABS
ABSとは、アンチロック・ブレーキ・システムとも呼ばれている、急ブレーキの際にタイヤがロックされるのを防ぐシステムです。
急ブレーキをかけた際に、急にタイヤがロックされると制御不能になりスリップする可能性があるので、それを防ぐためにこのシステムが搭載されています。
【参考】ABS(国土交通省)
【キー】という音がする原因と対処方法
車から異音がする原因はさまざまです。
ここでは、キーという音が鳴った場合の原因やそれぞれの対処方法を紹介していきます。
ブレーキパッドの摩耗
原因
ブレーキパッドの表面が摩耗によってすり減ってしまうと、金属部分が露出して、その部分がディスクローターに接触して音が発生します。
対処方法
ブレーキパッドを交換しましょう。
ブレーキパッドは消耗品なので、劣化や摩耗が進んでいる場合は交換が必要です。
ブレーキパッドがなじんでいない
原因
新しいパッドに交換したばかりの時に音が鳴ることがありますが、それはまだ新しくて素材がなじんでいないことが原因の一つに挙げられます。
対処方法
ブレーキパッドとディスクローターがなじむと自然に音が消失することが多いです。
ただし、数百キロメートル走っても音が消えない場合や音がどんどん大きくなる場合などは、他の不具合の可能性があるので、一度点検を受けましょう。
異物が挟まった
原因
ブレーキパッドとディスクローターの間に小石などの異物が挟まるとブレーキ時にキーキー音がすることがあります。
対処方法
異物によって部品が損傷してしまう可能性があるので、一度クリーニングや点検を行いましょう。
雨が降っている・湿度が高い
原因
システムに水分が含まれることによって音が鳴ることがあります。
対処方法
雨が降っている場合や湿度が高い場合は、ゆっくりとブレーキをかけて、車両の負担を減らしましょう。
ディスクローターの消耗
原因
ディスクローターが摩耗やゆがみを起こして、ブレーキパッドと不自然な接触が起こり、異音が発生します。
対処方法
ディスクローターの摩耗やゆがみが激しい場合は、交換をする必要があります。
【ゴリゴリ音】異音がする原因と対処方法
車のブレーキから起こる異音の中には「ゴリゴリ」という音もあります。
ここでは、このような音がする場合の原因や対処法を紹介します。
急ブレーキをかけた
原因
急ブレーキをかけるとABS(アンチロックブレーキシステム)が作動し、「ゴリゴリ」と言う音が発生することがあります。
対処方法
急ブレーキ時にABSが作動するのは、車に搭載されている安全機能の一つなので問題ありません。
ブレーキパッドの残量がない
原因
ブレーキパッドが摩耗して薄くなり残量がほとんどなくなると、「ゴリゴリ」という音が発生します。
対処方法
できるだけ早くブレーキパッドを交換する必要があります。
ブレーキパッドの残量がなくなると、ブレーキが効かなくなるので、すぐにブレーキパッドの交換をしましょう。
ディスクローターのサビ
原因
車を長時間使用せずに置いておいた場合などに、ディスクローターにサビが発生することがあります。
サビによって滑りが悪くなり音がすることも多いです。
対処方法
ディスクローターにサビが発生している場合は、サビを削りましょう。
また、サビがひどい場合は交換をするのもおすすめです。
このように、車のブレーキ時に発生する異音にはさまざまな原因があります。
原因によっては急ぎでの対処が必要ではないこともありますが、異音が長引く場合やどんどんひどくなる場合は、できるだけ早く点検を受けましょう。
ブレーキの異音にはオーバーホールも効果的
オーバーホールとは、車の部品を分解して清掃・検査・修理・交換などを行うメンテナンスのことです。
ブレーキシステムにはいくつかのパーツが使用されていますが、それらの中にはゴム製品が使われています。
ゴム製品はどうしても劣化が早いため、金属部品よりも早めの交換やメンテナンスが必要です。
ブレーキの異音がなかなか治まらない場合は、ブレーキシステム全体を点検・清掃・交換して性能を回復させるオーバーホールを行ってみるのも良いでしょう。
ブレーキの異音の原因となりうるパーツ
ブレーキにはさまざまな部品が使用されています。
ここでは、ブレーキからの異音の原因として考えられる主なパーツの特徴や交換時期、予算目安などを紹介していきます。
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ブレーキパッド
ブレーキパッドはブレーキシステムの根幹といってもよいほど重要なパーツです。
車輪1つに対して2枚のブレーキパッドが搭載されており、これらのパッドがディスクローターと接触することによって車両の減速や停止ができます。
交換時期と予算目安
交換時期 | 30,000km~50,000㎞走行ごとに交換 ※車検の時に交換することが多い |
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予算目安 | 1万円~4万円 |
ディスクローター
ディスクローターとは、円筒状で鉄製のパーツです。
ブレーキパッドと比べると摩耗のスピードは遅いですが、徐々に摩耗していきます。
不均一に削られてしまうと振動や異音が発生することがあります。
前輪と後輪の全ての車輪に搭載されているので、前輪と後輪に分けて交換することが多いです。
交換時期と予算目安
交換時期 | 前輪が2㎜、後輪が1mm~1.5mm減った時or溝がなくなった時 ※車検の時に交換することが多い |
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予算目安 | 3万円~5万円(前輪のみ・後輪のみ) |
ブレーキフルード
ブレーキフルードとは、ブレーキペダルを踏んだ時の力をブレーキシステムに伝える役割があります。
沸点が下がると異音やトラブルの原因となるので注意が必要です。
交換時期と予算目安
交換時期 | 2年~3年ごと |
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予算目安 | 1万円以下 |
ブレーキシュー
ブレーキシューとはドラムブレーキシステムに使用されている部品です。
ブレーキパッドと同じような役割があります。
交換時期と予算目安
交換時期 | 50,000km~100,000km走行ごと |
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予算目安 | 1万円程度 |
車の異音防止のためのメンテナンス法
車の異音を防止するためにはメンテナンスが重要になってきます。
ここでは、車の異音を防止するための主なメンテナンスを2つ紹介していきます。
定期的な点検を受ける
車のブレーキからの異音を防ぐためには日々のメンテナンスが重要です。
ブレーキパッドが減っていないか、ディスクローターが消耗していないかなどブレーキの主な部品の状態を確認するためにも定期点検は欠かせません。
定期的に点検することによって異音がする前に異常を発見することができます。
定期的にクリーニングする
車体のブレーキ周辺に小石などの異物が入ってしまうと異音の原因となってしまいます。
また汚れが蓄積すると不具合の原因になることも多いです。
そのため、定期的にクリーニングを行いましょう。
専用のクリーナーを使うと効率的に清掃することができます。
ただし、方法が分からない、自分で清掃するのが怖いという方はプロの依頼するのもおすすめです。
車のブレーキを長く使うための方法
車のブレーキを長持ちさせるためには日々の車の使い方が重要です。
そこで、ここではブレーキを長持ちさせるための具体的な方法をいくつか紹介します。
急ブレーキを踏まない
車のブレーキパッドやディスクローターのような部品は急激な摩擦によって摩耗します。
急激な摩擦の主な原因が急ブレーキです。
そのため、急ブレーキをできるだけしないようにして、普段から優しくブレーキをかけることが大切です。
ブレーキに負担がかからない運転をする
速度を一定に保つこともブレーキの負担を減らすポイントです。
急な加速や減速をできるだけ減らしてブレーキシステムの負担を減らしましょう。
例えば、下り坂での運転ではギアを低くしてエンジンの力で速度をコントロールするのもおすすめです。
異音がしたらすぐに点検を受ける
ブレーキから異音がする場合は、何らかの不具合が発生している可能性があります。
異音が治まらない場合や音が大きくなってきた場合は、トラブルの可能性が高いので早めに点検を受けましょう。
まとめ
車のブレーキをかけると「キーキー」「ゴーゴー」といった異音がすることがあります。
このような異音がする原因として、ブレーキパッドの摩耗やディスクローターの消耗が考えられます。
このような不具合を放置していると、ブレーキが効かなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
異音が長引く場合やひどくなる場合は、できるだけ早めに点検を受けましょう。