サスペンションは車の足回りのパーツであり、走行時の乗り心地と安定性を保つ役割を持ちます。
サスペンションが劣化すると、車の乗り心地が悪くなったり異音が発生したりする問題が起こる可能性が考えられるのです。
サスペンションには寿命があるため、劣化サインや寿命を把握した上で交換のタイミングを決めるべきでしょう。
今回は、サスペンションの交換タイミングや、必要な費用相場についてまとめました。
サスペンションのメンテナンスタイミングを知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
サスペンションの基本的な役割や構造
サスペンションは車体とタイヤをつなぐ一連のパーツを指し、その範囲にショックアブソーバー(ダンパー)やコイルスプリングが含まれます。
主に、タイヤと車をつなぐアーム・ショックアブソーバー・コイルスプリングの3つのパーツの総称がサスペンションだと考えて良いでしょう。
サスペンションの役割
タイヤと車体をそのまま接続すると、地面から受ける衝撃が全て車体に伝わってしまいます。
サスペンションは凸凹した地面の振動を吸収し、安定した走行を実現させる働きがあります。
さらに、サスペンションはタイヤと車軸の位置を適正に定めるためにも欠かせないパーツです。
サスペンションの構造
サスペンションには、リジットタイプ・インディペンデントタイプの2種類の構造があります。
どちらも同じ役割を持ちますが、構造が異なると考えてください。
リジットタイプ(固定車軸方式)
左右のタイヤを1本の車軸でつないだシンプルな構造が、リジットタイプです。
リジットタイプはタイヤが連動して動くため、段差で車体が傾きやすいというデメリットがありますが、低コストで製造でき耐久性が高いというメリットを持ちます。
インディペンデントタイプ(独立懸架方式)
インディペンデントタイプのサスペンションは、左右のタイヤを別の車軸につなぐことから、段差でも車体を水平に保ちやすいという特徴があります。
ただし、その分コストが高くつくことも知っておきましょう。
サスペンションの寿命とは?

サスペンションは経年劣化するため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
サスペンションの寿命は、それぞれの部位によって異なります。
ショックアブソーバーの寿命は8万kmが目安
ショックアブソーバーは、8万km程度の走行で交換が推奨されています。
ショックアブソーバーが劣化すると、バネの伸縮を抑える力が落ちて、ふわふわとした乗り心地になってしまうでしょう。
コイルスプリングの寿命は10年が目安
コイルスプリングは10年程度の寿命を持つ比較的丈夫な部品です。
劣化してバネの力が弱くなると、車高が低くなる・衝撃を吸収しきれなくなるなどの症状が現れます。
サスペンション全体の寿命は5万km〜8万km走行時/10年が目安
サスペンションに含まれるショックアブソーバーやコイルスプリングの寿命を考えると、サスペンション全体の寿命は5万km〜8万km走行時、または10年を目安にすると良いでしょう。
先ほども説明したように、サスペンションは衝撃を吸収するためにあるパーツです。
そのため、オフロードの走行が多い場合には、平均よりも早く寿命が来る可能性があります。
寿命のみでなく、次で紹介するサスペンションの交換サインも把握しておくべきです。
サスペンションの交換サインとは?

サスペンションの交換タイミングは、車の乗り方や車種によって異なります。
次のような交換サインを知っておき、サスペンションを適切な時期に交換できるようになりましょう。
車の乗り心地が悪くなった
サスペンションが劣化すると、車の乗り心地が悪くなります。
具体的には、ふわふわする・ガタガタするなどの変化が見えてくるでしょう。
ただしこの変化は、突然ではなく少しずつ悪化するものなので、慣れのせいで気がつけないこともあります。
また、その他にも次のような症状が現れることが多いです。
- 車高が低くなる
- 操作性に違和感を感じる
- タイヤが偏ってすり減る
確信が持てない状態でも違和感がある時には、プロに点検を行ってもらうべきです。
異音が発生する・オイル漏れが起きた
サスペンションが劣化すると、異音が発生したりオイル漏れが起こったりする可能性があります。
特にオイル漏れを放置した場合は、どんどん車の性能が下がっていくため、急ぎの対応が必要です。
サスペンションをドレスアップ・性能向上のために交換するという手もある

サスペンション自体が劣化していなくても、車の性能を上げたい・ドレスアップしたいという考えで、サスペンションを交換する方も多いです。
例えば、サスペンションは車の高さに影響を与えるため、サスペンションの変更により車高を変更することができるのです。
ただし、車の高さは法律で定められた範囲に収める必要があります。
また、サスペンションの性能を上げて衝撃吸収能力を向上し、より理想的な走行を実現させたいと考える方もいます。
サスペンションの交換にかかる費用の目安
ここでは、サスペンションの交換にかかる費用の目安について説明します。
サスペンションは一部の部品交換・全交換で必要なコストが変わるため、それぞれのパターンを紹介しましょう。
サスペンション全体の交換にかかる費用の目安
サスペンション全体の交換は、工賃を含めて10万円〜30万円の費用がかかります。
高性能なサスペンションは必要なコストも上がっていくものです。
トータルコストを考えながら、サスペンションを選ぶと良いでしょう。
ショックアブソーバーの交換にかかる費用の目安
ショックアブソーバーの交換に必要な費用の目安は、1本あたり2万円〜3万円です。
車にはタイヤごとにショックアブソーバーがついているため、その4倍のコストがかかると考えてください。
一般的には、ショックアブソーバー1本のみでなく、左右合わせての交換が推奨されています。
ゴム部品の交換にかかる費用の目安
サスペンションやショックアブソーバーに問題がなく、ゴム部品部分のみを交換する場合には、2万円程度の費用が必要です。
パーツ代自体は高額ではないものの、サスペンションを分解しなければいけないケースでは工賃が割高になるでしょう。
サスペンションの交換を依頼できる業者

サスペンションの交換は、ディーラー・車の修理業者・ガソリンスタンドやカー用品店に依頼できます。
ここでは、それぞれの業者の特徴をまとめました。
安心してメンテナンスを任せられる業者を見つけてください。
ディーラー
車を購入したディーラーにサスペンションの交換を依頼することもできます。
他の業者と比較して必要な費用が高額になるケースが多いですが、基本的に純正品のみを使用した修理を依頼できるでしょう。
車の修理業者
車の修理業者は高い技術力を持っているため、安心してサスペンションの交換を依頼できます。
ディーラーよりも融通が利き、コストパフォーマンスも良いという点が特徴です。
カスタマイズについても相談できるでしょう。
ガソリンスタンド/カー用品店
ガソリンスタンドやカー用品店の中には、サスペンションの交換も依頼できる店舗もあります。
ただし、車の修理の専門店ではないため、口コミなどをチェックして修理を任せられる業者であるか見極めましょう。
サスペンションを交換しないとどうなる?

寿命を過ぎたり不調が出ているたりする状態でサスペンションを放置すると、次のような問題が起こってしまいます。
サスペンションは必要なタイミングに、必ず交換してください。
安定した運転ができなくなる
サスペンションが劣化した状態のまま車を運転し続けると、車の乗り心地が悪くなるだけでなく、安定性にも良くない影響が出てきます。
ハンドリングの感覚にダイレクト感が失われるケースもあるでしょう。
オイル漏れが起こる
ショックアブソーバーの中には、オイルが充填されています。
劣化した状態で走行を続けると、内部のオイルが漏れ出してしまう可能性があるでしょう。
オイルが漏れた状態のショックアブソーバーは、本来の減衰力を発揮できません。
車検が通らない可能性がある
サスペンションが劣化した状態では、車検に通らない可能性があります。
具体的には、以下のような症状がある車は車検で引っかかってしまうでしょう。
- ショックアブソーバーからオイル漏れしている
- スプリングが錆などで破損している
- アームのボールジョイントブーツが破れている
タイヤが偏摩耗する
サスペンションは、全てのパーツが同じスピードで劣化するわけではありません。
そのため、劣化したサスペンションを放置することで車の荷重が均等にかからなくなり、タイヤが偏摩耗してしまうでしょう。
サスペンションの交換は自分でできる?

サスペンションの交換を自分で行うことは不可能ではありません。
ただし、車のジャッキアップ・各種部品を確実に取り外し取り付ける作業が必要です。
特に車の車体底部は複雑な構造であるため、普段から自分で自家用車を手入れしている方でも難易度が高いと考えてください。
さらに、作業が万全でなかった場合、走行時の安全性に支障が出てしまう可能性があります。
このような理由から、サスペンションの交換はプロに任せることをおすすめします。
まとめ
サスペンションの交換タイミングは、5万km〜8万km走行時または10年走行後を参考にしてください。
目安よりも短いタイミングでも、車の乗り心地に違和感がある時には、プロにサスペンションを含めた全体のチェックを依頼しましょう。
サスペンションを必要なタイミングでメンテナンスすれば、長期的に快適な車の乗り心地を維持できます。
この記事を参考に、自家用車に必要なサスペンションのメンテナンススケジュールを立ててみてください。