車やバイクを中古で購入したり、修理する際に「レストア」というワードをよく耳にしませんか?

なんとなくの意味として、故障した車やバイクを修理して使える状態にする作業のような印象で「レストア」をイメージされている方が多いかもしれません。

そこで、ここでは「レストアとは何か?」「レストアとオーバーホールの違い」などを詳しく解説していきます。

レストアとはそもそも何?

レストアとは?オーバーホールとの違いと選び方

長年使用しなかった車両を走行可能な状態にすることを「レストア」と一般的に呼びますが、本来の意味は以下の通りです。

レストアの意味

レストアの語源は英語の「restore」から由来しており、意味としては「元の状態に戻す」「復元する」「復活させる」などのようなことを言います。

経年劣化や長期保管で動かなくなった車やバイクの部品を交換して、本来の乗車可能な状態に戻すことを目的としており、最終的に新車のように動く状態まで修理します。

レストアの特徴は?

主に数十年前の動いていない旧車を現代でも走れるように修理するので、時間と多くの費用が発生します。

レストアは別名「究極の娯楽」とも言われ、レストアして作り上げた車は走る芸術と捉えられており、愛好家が多いと言われています。

パーツの多くは既に入手困難であり、海外に輸出された日本車を逆輸入してパーツを取り寄せる事もあります。

部品が無い場合はワンオフで一から作製することもあり、完成までは時間と根気が必要な場合もあります。

レストアとはどんな修理作業をするの?

 

レストアとはどんな修理作業をするの?

レストアとは実際にどのような修理作業をするのでしょうか?

レストアは新車のような状態まで修復することが目的なので、外装の再塗装はもちろん内装の張り替えなどの見た目の補修から始まり、エンジンや駆動部分などの修復や走行機能を回復させることまで行います。

また、レストアでは修理の段階で次の2種類があります。

レストアの種類

レストアは「セミレストア」と「フルレストア」の2種類に分類され、この種類により修復する範囲と作業時間が異なります。

セミレストアとは?

セミレストアとは、事故などで破損した部分などの一部分のみを修復する事を言います。

基本的に車体から部品を全て取り外して修理したりする事はないので、費用面としては比較的安価で済むことが多いです。

フルレストアとは?

その名の通り、全ての部品などを新たに乗せ換えて、まるで新車かのように修復します。

エンジンから足回りまで全てを新しい部品に交換するので、クラシックカーと呼ばれる年代ものの車両まで対応できる特徴がありますが、その反面で部品の調達やフレームの補修など時間と費用が多く発生します。

レストアの修復方法

レストアにおいて修復方法は「オリジナル部品を主に使用して復元する修復」と「レプリカ等の部品や流用できる部品は優先して使用し走行させる状態にする修復」の2パターンがあります。

発売時に車に設備されていたオリジナル部品を使用して修復をする完全修復の場合、流通量の少ない車種などによっては、パーツが見つからずにレストアがなかなか進まないケースもあります。

レプリカの部品や他の車両から流用可能な部品等を使用し走行させることを優先する場合は、流用品や改良品が使用可能になるので、機能向上や走行性能を上げることもできます。

レストアが完了するにはどのくらいの期間がかかる?

レストアが完了するにはどのくらいの期間がかかる?

単純な部品交換であれば数分から数時間で修理が可能ですが、バンパーの凹みやホイールの傷などは3日~5日程度の期間が必要になります。

旧車などの場合は交換可能な部品が既に絶版で販売されておらず、同様の車両から調達する必要があるので部品調達だけで半年などの時間が掛かるケースもあります。

ベース車両の状態が良ければ、それだけレストアにかかる期間は短期間で済むことになります。

よって状態の良いベース車両は高値で取引される傾向にあります。

レストアとオーバーホールの違い

レストアと同様に意味にオーバーホールという呼び方があります。

車を修理する際に用いる言葉なので、混同しているケースがありますが一般的に2つは違う作業を指します。

オーバーホールの意味

オーバーホールの語源は英語の「overhaul」に由来しており、意味としては「分解」「検査する」「修理して見直す」などのようなことを言います。

自動車業界では、一般的にオーバーホールというとエンジンやトランスミッションを分解して洗浄修理を行い、新品同様の状態に検査修理することを言います。

オーバーホールの特徴とは?

オーバーホールはレストアと違い現在自走可能な車両に行われることが多く、経年劣化した走行性能を本来の水準に近づけ戻す点検整備のような位置づけになります。

前途のようにエンジンやトランスミッションの補修が主で、走行使用することで各部品が摩耗して本来の性能を発揮できなくなった箇所を修理します。

 

レストアとの違い

レストアとオーバーホールはよく似た作業ですが、大きな違いはレストアが内外装の修理から機械部分まで全てを新車同様に整備する事に対して、オーバーホールは前述のようにエンジンやトランスミッションなどの機械部分のみ機能回復させることです。

また、オーバーホールではレストアのように部品を新しいものにする事はあまりなく、パーツを個別に分解してメンテナンスを行い機械の性能を取り戻す作業をします。

レストアを行う流れ

レストアを行う流れ

 

レストアを行う際に大切なのは、ベースとなる車両をどのような車両にするかが重要なポイントとなります。

レストア専門の業者を探すことも大切ですが、ベース車両により得手不得手とするものがあったりするのでベースを決めましょう。

ベース車両を探す

まずはレストアのベースとなる車輌をどんな車種にするかを決めます。

人気車種の方が車両の台数が豊富なので探しやすい傾向がありますが、程度の良い車体は車輌価格が高い傾向にあるのでよく考え選定しましょう。

人気のない車体はそもそも流通台数が少ないので巡り合える機会が少ないので見つけたら迷わないようにしましょう。

 

旧車の多くは経年によるサビや腐食が見られることがあります。

お気に入りの車種であっても、あまりにも程度が悪いものは後々トラブルや修理費用がかさむので避けることをおすすめします。

信頼できるショップを見つける

レストアはショップの腕で仕上がりが大きく変わるといっても過言ではありません。

特に旧車をお願いする事が多くなるので、深い知識がないとパーツが他の車と兼用可能などという情報がわからないこともあります。

経験豊富なショップには自ずと様々な方が訪れてより情報が集まります。

経験値の多いショップを見つける事がレストア成功の秘訣です。

ベース車両の状態チェック

ショップを見つけたらベース車両の状態を見てもらいます。

自分でもある程度確認できる箇所をセルフチェックする必要がありますが、最終的にはショップの専門家に見てもらいましょう。

車体のどの部分をレストアする必要があるのか確認してもらい概算費用や期間などを相談します。

どこまで車に手を入れるかは、購入者次第なので自分が思い描く完成図はある程度頭の中に入れておくと相談がスムーズになります。

メーカーがレストアを実施する事もある

レストアとは旧車だけのものというイメージもありますが、自動車メーカーによっては積極的に自社でレストアを行い、ブランドイメージを高めるケースもあります。

その代表的メーカーはフェラーリやランボルギーニです。

フェラーリでは「フェラーリ・クラシケ」同様に、ランボルギーニでは「ポロストリコ」というレストア専門部門があります。

メーカーが専門的に実施している場合は利用するのも一つです。

レストアをするメリットとデメリット

レストアをするメリットとデメリット

自身が気に入っている古い車やバイクをレストアして走れるようにする事は、夢を叶えるようで心踊るでしょう。

しかし、レストアをする事でのメリットとともに、デメリットもあります。

メリット①生産終了している名車に乗れる

レストアのメリットは、カタログでしか見ることのない年式の古い車などを新車のように蘇らせられることです。

旧車は既に販売が終了しているので、年代が古くなると中古での扱いも少なくなります。

欲しかった貴重な車をレストアして再生させることができるのはメリットといえます。

メリット②ビンテージ品として保管できる

誰しもが昔乗りたかった車や、両親と一緒に乗った思い出のある車などがあると思います。

販売が終了している古い車を、程度が良い状態で保存することで当時の思い出を蘇らせてくれたりします。

そこにモノとしての希少価値や付加価値が生まれます。

メリット③資産として価値が上がることもある

生産終了した車の中には愛好家の多い「名車」と呼ばれている車種もあります。

このような車両はコレクターの間でプレミア価格がつく事が多く高額で取引されます。

レストアするには多くの時間と費用がかかります。

しかし、程度の良い状態の車であればレストア費用を回収して利益を生み出す事ができるケースもあります。

近年では旧車と呼ばれるほど古い車種では無くても資産価値は上がる傾向にあります。

例えば、ホンダの「S2000」は1999年に発売したFRのスポーツオープンカーは、現在でも人気で程度が良い車種なら販売当時の新車価格と変わらない400万円程度の値段で販売されているケースもあります。

デメリット①レストア完了には時間がかかる

年式の古いモデルは、現存流通している台数も限られます。

レストアに必要なパーツを集めるのには多くの時間や運も必要になります。

通常の修理とは異なりレストアには専門的な知識が必要で、他車のパーツを流用できるものは積極的に活用したり、中には3Dプリンターや板金屋に依頼してパーツを自作するオーナーも多くいます。

デメリット②レストアする事で耐久性が落ちる可能性もある

レストアを依頼する業者によって仕上がりは大きく異なります。

車種によって得意としているジャンルがある業者や、専門的な設備を有している業者など様々です。

安心できる業者を選定しないと最終的な処理で品質を落とすことになり耐久性を損なう原因にもなるので注意が必要です。

デメリット③完成には新車程度の費用が掛かることも

レストアでは通常廃車にするような車を再生する事もあります。

そのような場合などは通常よりも多くの作業で修理や部品を交換する必要があります。

更にオリジナル部品で完全レストアを考えている場合は、部品をオークションなどから調達する必要があるので、思った以上に費用がかさみます。

レストア済みの車を購入する方法もある

レストア済みの車を購入する方法もある

レストアの作業には多くの時間と費用が掛かりますが、それでも多くの方がレストアをしてまでもお気に入りの車に乗り続けるのは、それだけ魅力があることとも言えます。

自分でレストアをするという選択肢もありますが、簡易的な修理はできても専門的なレストアは危険が伴う作業が多いので簡単にできるものではありません。

クラシックカー専門店で購入という選択肢も

そこで検討するのはレストア済みの車を購入する事です。

多くの旧車やクラシックカーの人気車種は中古市場でも人気があり、レストア済みの車が販売されているケースが多々あります。

ベース車を購入してどれだけの費用が発生するかわからずに車を購入するよりも、全てレストアされた車を購入する方が安く購入できることがあります。

まとめ

レストアとはどのようなものなのかを解説しました。

レストアをすると多くの時間と費用がかかりますが、動かなくなったベース車両を専門業者の協力のもと、新車に近い状態に蘇らせる経験はその工程も含めて楽しいものです。

憧れの車を自分で作り上げた達成感と充実感は他では得ることのできない経験となるでしょう。

車が本来の意味で愛車となるのではないでしょうか。

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